退職理由は離婚歴並みのインパクトなのに明かす義理があるのか

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ぶっちゃけ、面接で「前職の退職理由」を説明するのだるくないですか?
「大きなお世話だよ。ほっといてくれ」と言いたくなりませんか?


私はフリーランスなので面接というものをあまりしなくなった上に、そもそもフリーランスなのでどこにも雇用をされていないので「退職」という概念はあるにはあるが会社員よりも希薄で、クライアントワークを受注する際などで職務経歴書とポートフォリオを提出の上で軽く「面談」をすることはあるものの、いちいち「退職の理由」などは聞かれません。

一方で、会社員の方となると転職の度に前職の「退職理由」を聞かれると思います。
理由は明白で、あなたを採用するにあたり、うちの会社でやっていけるか、きちんと勤めてくれるか、あなたを自社の戦力として計算できそうか、などというところを確認しているわけです。

雇用して給料を支払う企業側からすれば、あなたが変な理由で前職を退職をしていないか、病弱でないか、家庭の事情が何かあるのか、などリスクヘッジの観点から当然に聞かざるを得ない事項と言えます。

しかしながら、私が若い頃、ある企業との面接時に前職の退職理由をあまりに根掘り葉掘り聞かれ、ブチギレてその場でエントリーを辞退したことがあります。

そもそも転職の理由なんて「今勤めている会社で働くことに良い展望を描けなくなった」とか「いい会社と思って入ったもののそうでもなかった」、あるいは「ホワイトかと思ったら実はブラック企業だった」「給料がなかなか上がらない」「人材が常に流動的で残った者に皺寄せがくる」「経営陣や上長が代わり、馴染めなくなった」「会社や仕事に魅力を感じなくなった」「ある程度経験をしたので経験値のレベルアップをしたい」「社内でハラスメントが見られる、あるいは自分がその被害者でメンタルヘルスを病んだ」「もっと給料の高いところに転職をしたい」くらいのものじゃないですか。でもそれを転職する際に企業での面接で言えないし、馬鹿正直に言う義理もないですよね。人のプライバシーの問題なのだから放っておいてくれとしか言いようがないですよね。

以前、「アンケートはタダではないという話」という記事を書いたことがあるのですが、面接で聞かれる事項のほとんどが、まさにアンケートで答えるレベルの個人情報なので、企業の面接で聞かれたことを全て答えるべきかと言われると、私は疑問符が付くと考えます。

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とにかく、会社なんて星の数ほどあり、その中にはおかしな会社もたくさんあります。

それに若い人ならなおさら、今の現状には満足できず、あるいはある程度満たされていたとしても、自分の将来への投資の意味でも「もっと高いステージで勝負をしたい」と考えるものでしょう。以前「サントリー新浪社長の「45歳定年」発言に思うこと」という記事を書いて大きな反響を頂いたことがありますが、今のご時世、一つの会社に長くいることがリスクになりかねないので、世の働く人全てにおいて、生涯の転職回数がこれからもっと増えるでしょう。
転職の動機なんて、それくらい時代に左右される、明文化の難しい、説明しづらいものなのです。


もちろん、それでもある意味で面接用にチューニングされたもっともらしい理由を述べることはある意味で「面接の極意」みたいな技術や極意ではあるとは言え、そう根掘り葉掘り、それももう終わった前職の退職理由なんて聞かれる、あるいはそれに答える時間自体が苦痛で、失恋した思い出を渾々とネガティブトークさせられているようで非建設的、まるで不毛な議論にしかならず、それよりもっとおたくの会社に入るとどんなことができるのか、御社の中長期的なビジョンなど、そちら側が自社で働くことで得られるメリットをPRする方に力を入れるべきでしょう、とシャウトしたくなりました。

企業側としては、もしかするとそういう意地悪質問をすることで自社で働くにあたる「耐性」のようなものを見ているという可能性も当然ながらその場で考えましたが、それにしたって人のプライバシーに踏み込みすぎで、そんな会社とは縁がなかったということでマッチングせず、こちらからバイバイでいいと判断しました。

そうして私から面接官へのフラストレーションが爆発することをどうにか抑えた結果が「終わったことをそんなにくどくど確認しますか? もう良くないですか?」とブチギレて面接をエスケープという形に現れたというのが事の顛末です。

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面接という場をその企業がセッティングしてくれたのにそれをフイにする行為であることは当時の私とて自覚しているものの、その行為によりその後の転職、仕事、私生活において何ひとつ影響が生じていないため「私も若かった」で流すような軽微な問題であると述懐します。

また、私は後にも先にも面接の場でキレ散らかしたなどということはただの一度もないことは申し添えておこうと思います。

ただ、企業の面接官とて人の子なので、明らかにおかしい質問をしてくる者、おかしい態度を応募者に取る者は残念ながら少なからず社会に存在します。

面接の場で面接官より明らかにおかしい質問やおかしい態度を取られた場合は、そもそもその企業のリテラシーが低い可能性が高く、そういうところとは縁を持たない方がいいし、私の様にその場でキレ散らかしてエスケープするかどうかはさて置いて、仮に選考通過の連絡を後日にもらったとしても、その会社へのエントリーを辞退した方がいいと思います。

これは私個人の考えではありますが、おかしい企業には明確に「NO!」を突きつけて拒否した上で、あまりにひどい場合は相手の名誉毀損にならぬ程度に、お互いの個人情報や機密情報を出さないように留意をした上で、事実のみをGoogleマップ上の企業評価として書き込んでやればいいいとさえ思うのです。

日本結婚相談所連盟

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これからの時代、会社員(正社員)という肩書きや雇用形態は減ると思いますが、アルバイトやフリーランスでも面接みたいなものはウィズコロナ時代になってZOOMなどのオンラインが主流になるのか旧来のように対面が主流になるのかはコロナ情勢に左右されるためさすがの敏腕マーケター(?)の私でも明確な答えが出しづらいですが、いずれにせよ面接というものはいつの時代の仕事についてまわることに変わりはないでしょう。

しかしながら、例えば応募者の離婚歴や血液型を訪ねるとか、恋人がいるのかどうかとか、愛読書、本人および家族の病歴、宗教や政治観などいわゆる個人情報に準ずる「センシティブ・データ」を訊ねるのと同等のインパクトとも言える「前職の退職理由」を面接で企業側が当たり前の様に聞き出す不毛で非建設的、近視眼的行為をNGとする風潮が醸成されてほしいと心底願います。こんな行為はお互いに何らメリットがないばかりかデメリットしかありません。


最後に、あえて企業側の目線に立ち、本項を締め括るとすれば、もし企業側が応募者の人となりや経歴に違和感を覚えたなら独自に調査でもするか、そのコストも出せないなら書類選考の段階で落とせばお互いWINWINで済み、人事採用計画としてもきわめて合理的です。

要するに、特に今の時代、あまり応募者のプライバシーに立ち入った質問は面接でやらんほうがよろしおまっせ、それよりももっと明るいビジョンを語り合った方が結果として企業イメージ向上し、いい人材の確保もしやすくなりまっせ、引いては会社の業績向上にも寄与するんとちゃいまっか、ということですね。

もし当記事をご覧になったあなたが若い転職予定者であるならば、あなた自身のさらなるご健勝を願い、あなたが勤務先にてそこそこのお立場にあり人事採用に少なからずコミットし、面接官まで務めているということならば、ぜひあなた自身、あなたの勤務先、あなたの勤める業界のリテラシー向上のために意識改革のためご尽力されたし、と切に願うばかりです。


当ブログがどなたかのお役に立てれば幸いです。