【回顧録】なぜアパレル商社をやめたのか

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私がアパレル商社で会社員をしていたのが90年代。
約20〜30年前の話だが「こういう企業や組織にいるのは要注意」という啓蒙になると思ったため私の過去を披瀝しようと思う。


大手なのでエントリーも多かったそうだし若かった私は面接で”ド緊張”してしまい半ばあきらめていたところ、内定の連絡をもらった。
その時の嬉しさたるや何とも表現し難く、とにかく跳ねてまわって喜び勇んだ記憶がある。
当時は不況のどん底で就職には本当に苦労した。
のちに「ロスジェネレーション(失われた世代)」「就職氷河期」「失われた20年」「バブル世代の尻拭い世代」などと言われる時代、世代に生きていた我々だが、当時はそのような概念がまだ”発見”されていなかった。
そんな中でもともと希望していたアパレル関係の、しかも大手アパレル商社への内定が決まったのだからその感慨もひとしおだったことは想像できよう。


だが、入社早々でたくさんの壁にぶち当たる。
仕事や人間関係は割とうまくいっていて、上長や先輩にも恵まれていたと思うのでそのあたりに不満や不安はなかった。
問題は金である。
もちろん、そうだと事前にわかって理解してから入ったことではあるが、アパレル関係は本当に給料が安かったのだ。当時の私は実家から通っていたためどうにかなかったが、一人暮らしではとうてい生活できないほどの給金であった。

若手社員をして、その会社の給金のことを”生存費”と呼んでいたほど。
”生活費”ではなく”生存費”と形容するところにその金額の低さが垣間見えよう。 給与額の安さはアパレル業界のそれは低賃金業界の代表とされ他産業の群を抜くが、そのアパレル業界の中でも私のいたアパレル商社はさらに群を抜いて低賃金であった。

それは入社数年の先輩であっても10年、20年在籍の課長、部長クラスであっても同じだ。
一人暮らしをしていた先輩などはそのアパレル商社の給金だけでは生活できず夜に居酒屋でアルバイトをしていたり、妻帯者子持ちの上長などは「給料日までに◯円貸してくれんか」などとペーペー新卒の私に頭を下げてくるといった光景が日常茶飯事で、若い私は「えらいところに入ってしもうた」と狼狽した。

「給料が安い」ことは知っていたが、内部から見た実態に予想を上回るものがあった。
事前のリサーチ不足と言われればそれまでだが、当時はネットがまだ一般家庭にまで浸透しておらず、リサーチには人づてに聞くとか企業訪問くらいしか判断材料がなかった。

アパレルという業界は華やかで、若い私が憧れたのはそういうところだったのだろう。
しかしながら、先述のような理由もあり2年目くらいからアパレル商社、というよりアパレル業界に絶望し、異業種への転職をしたいと思うようになった。

年収など待遇面もさることながら、その会社や業界でのキャリアパスが描けない、つまるところロールモデル(お手本)となり得る上長や先輩がおらず、それどころか「こうはなりたくない」の見本市のような状態だったのだ。
業界や会社の未来にも展望がなく、社内に憧れる人もいないといった状態に置かれた若者がそういうマインドに陥るのは自明の理であろう。


アパレル商社ではいわゆる休日出勤は恒常的で、かつ、”サービス残業”も当たり前のように繰り返されていた。当時その概念がないながらも今でいう「ブラック企業」そのもの。
そんな会社に半ば”搾取”された挙げ句、上の世代が詰まっていて出世も厳しい、上にいけばいくほど当然ながらそのポストの数が減るためライバルを蹴落としてサバイブしていくしかない、仮にサバイブに勝ち残って出世したところで年収の中央値が安いアパレル業界の中でも群を抜いて年収の安い会社であるので期待は持てない。

それでいて、戦中世代くらいの支店長クラスで年収4000〜5000万円くらい、運転手付きの社用車まで完備されている始末。しかも我々世代がこのポジションに就くことは万に一、十万に一、いや、もっと天文学的な気の遠くなる確率でしかない。あまりに不条理な世界である。


そうこうしているうちに社会に登場し連日の話題をさらうようになったのが「IT」という言葉や概念であった。
「これだ!」と思った私は独学で自分の趣味を発信するHPを作ったり、当時流行っていたチャットで知らない人と話してネット友達を作ったり(実際に会ったりしたこともある)、徐々にITの方面に我が身を寄せて行き、そしてアパレル商社を退社してIT業界に転職した。

その後は制作会社、テレビ局、芸能事務所、広告代理店などを渡り歩いてそれぞれITまわりの仕事に従事し、30代で独立、フリーランスの道を歩むことになる。


当記事で私が言いたいことは、自分が勤務する会社や業界に少しでも疑問を感じたら、もしかしたらその時があなたのターニングポイントかもしれない、ということだ。
自分自身を変えたい、環境を変えたい、会社や仕事がつまらない、といった漠然としたものでもかまわない。
そのようなマインドに入ったら、あなたの行動すべき局面が来ているのかもしれない。

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DMM FX

人生は有限だ。

僅かでも不満や不安、ストレス、メンタルヘルスの面でネガティブな要素があるなら、思い切って環境をチェンジしてみればいいと私は思う。

有限な人生で鑑みるに、余計は負荷(※己への摂生、食欲などの感情や欲望のコントロール、自律する意味とは別で、ここでいう「負荷」とは職場で悩む人間関係、給料など待遇に不満などのメンタルヘルスや環境面に対するストレス、将来に対する不安の意味)は無駄であり、そういったロスを少しでも減らして立身する方策を講じることこそが、とりわけ好景気も終身雇用という概念も右肩上がりの社会経済というものも上の世代が終わらせた代償を払わされている現役世代にとってはきわめて合理的な生きざまであろう。

当ブログが僅かでもあなたのお役に立てれば幸いである。

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