【デザイナー&コーダー向け】WEBディレクターへの転業徹底ガイド

「WEBデザインをやっているけどディレクターの方が収入がいいと聞いた。デザイナーからディレクターになるにはどうすればいいの?」
こういった声にお答えします。
本記事のテーマ
- WEBデザイナーやコーダーの人がディレクターへ転業するためのガイドです。
今の報酬では満足していなくて、まずはディレクターを足掛かりにして、PMなど報酬が高い職種にチャレンジしたいと考えている人に向けた記事です。
※本記事ではWEBディレクターを「ディレクター」、WEBデザイナーを「デザイナー」、WEBコーダーを「コーダー」という表現で統一します。
✓ もくじ
WEB制作会社だけでなくメーカーや物流、小売業、あらゆる業界にいるのがいわゆる「WEBディレクター」ことディレクター
制作自体は下請けに依頼をしているケースもありますが、自社の制作物のクリエイティブの担保とハンドリングをする自社ディレクターはどうしたって必要です。
市場価値はかなりあり、WEB系の求人でもディレクターの求人数の多さはあなたもご存知かと思います。
正社員とフリーランスともに求人数は年中で多く、いずれもデザイナーやコーダーよりディレクターの方が年収は高い傾向にあります。
私はフリーランスなので、フリーランスの求人を例にあげると、ディレクターの30代の平均年収が700〜800万円くらいです。デザイナーやコーダーの400〜500万円くらいなのでかなり開きがあります。
フリーランスの始め方について知りたい方は以下の別記事をお読みください。
▶︎ 【完全ガイド】フリーランスになるにはどうすればいいの?
求人数は多いが一定程度のスキルがないとディレクターはつとまらない
ディレクターになるにはどうすればいいか?何の準備をしてどんなスキルがあればいいか?
当然ながらデザイン、コーディングのスキルだけでは厳しいです。
本記事ではディレクターになりたいデザイナーやコーダーの人向けに、ディレクターになるにはどうすればいいのかを具体的な方法とともに徹底ガイドします。


ディレクターとは何者か
今や社会のどこにでもいるディレクターという人種。私自身も元々はこの人種ですが、いったい何者で、どういう仕事をして生きているのでしょうか。
デザイナーやコーダーをやってきた人は常に身近で見てきてお分かりかと思いますが、要約すると以下のような仕事をしている人種です。
- クライアントへのプレゼンや折衝
- コンセプト・KPI設定
- UI/UXを含む画面設計
- スケジュール設定
- マネジメントやチームのリソース管理を含む制作進行管理
- クライアントへの納品
- サイトリリース後の効果測定
今までディレクターを近くで見てきたのでご存知のタスクもあることでしょう。
ディレクター業務それぞれの概要は以下です。
- 1. クライアントへのプレゼンや折衝
「WEBを作りたい」というクライアントがいるとします。
そこに出向いて(今ならZOOMとかで)クライアントと会います。
クライアントのやりたいことをヒアリング、必要に応じて提案もします。
情報全容まで収集できたら要件定義に落とし込みます。
- 2. コンセプト・KPI設定
次は要件定義のフェーズです。
クライアントがやるべきWEB商品を正しいコンセプトに導きます。
商品概要が定ったらKPIを設定します。
- 3. UI/UXを含む画面設計
要件定義が固まったら制作する商品のベースが設計されたことになります。
そして実際の画面設計とサイト遷移をストラクチャーマップで書きます。
パワーポイントやExcel、今だとAdobeXDが便利です。
- 4. スケジュール設定
画面設計フェーズが終わったらスケジュールを引きます。
スプレッドシートかExcelでスケジュール表を作成します。
カレンダーやリソース自動計算などのVBA(マクロ)が組んであるのがベスト。
このスケジュール表を元に、毎週作業者を集めて進捗定例を開きます。
- 5. マネジメントやチームのリソース管理を含む制作進行管理
週1で進捗確認の定例MTGをやりつつ作業者のリソース管理もやります。
人日1(100%)を一日の定時8hと定義し作業者のタスクをピックアップします。
全タスクを人日計算でリソースが煽れないように、手が空いた作業者がいれば
フレキシブルに他の作業者のヘルプをやってもらうなどして運用します。
わがままな職人(デザイナー、コーダーなど)を説き伏せるのも重要な仕事です。
- 6. クライアントへの納品
一般的には数ヶ月を経て納品のスケジュール感で進むことが多いです。
制作物が完成したら、クライアントに納品をします。
納品方法はクライアントの指定に合わせます。
- 7. サイトリリース後の効果測定
クライアントに納品しただけでは終わりません。
サイトリリース作業の代行を依頼される場合もまれにあります。
リリース後の定点計測を依頼される場合もあります。
計測ツールはGA(Google Analytics)やヒートマップあたりが主流です。

ディレクターになる方法

あなたがWEBに関わるお仕事をされている前提でお話しします。

「ディレクションをする」の宣言でOK
ディレクターになるには周囲にそう宣言をすればすぐにでもなれます。
何でも屋のディレクターは市場的にも引く手あまたですが、「ディレクター」と呼ばれているかどうかは別として、あなたの社内でもWEBを含めた自社クリエイティブの制作進行や社内外への調整役みたいな人は常に人材不足のはずです。
あなたが今在籍する会社でも他の会社でも、活躍の場はたくさんあるでしょう。
あなたが会社員、派遣社員、もしくは私のようなフリーランサーだった場合でも、所属する現場でそう公言すれば、その時点でディレクターデビューです。
企画書やスケジュール表、リソースシートなど資料の作り方は知らなくてもOKです。
自分で0→1で資料を新しく作れることに越したことはないですが、たいていは自社のナレッジとして前例資料がアーカイブされていますので、その中からプロジェクトに一番マッチした資料を転用して使うのがコスパがいいです。
自社内にナレッジがないとしても、ネット上でテンプレがいくらでも拾えます。
よく「コミュニケーションスキル」が必要と言われますが、言葉が話せて他人と会話できれば問題ありません。
それよりも段取りとかマネジメント能力を身に付けていった方がいいです。

ディレクターは自社クリエイティブの番人
ディレクターはその会社における正式な肩書きが「ディレクター」とは限らず(会社員、フリーランサー問わず)、総称かつ通称で「ディレクター」と社内外で名乗ることが多いです。
ただ、自社のディレクターとして振る舞いますので名刺やメールの署名にはたいてい「ディレクター」と入れます。
自社クリエイティブを仕切る番人みたいな存在のディレクターですが、デザイナーなりコーダーなりの下地があるあなたには、ディレクターはステップアップには最適な職種と言えます。技術の下地があるディレクターは強く、市場価値も高いです。
D/P/PMの曖昧な境界線
ディレクターとプロデューサー、プロジェクトマネージャーはWEBクリエイティブに対して極めて近いフェーズを担当しているものの、似て非なるものです。
これらの違いをわかりやすく解説しますね。



・プロデューサー 担当領域 - 事業計画フェーズ 事業戦略の企画立案 人の手配をする 金の調達をする - 設計フェーズ コンテンツ企画立案 ・ディレクター 担当領域 - 設計フェーズ コンテンツ企画立案 UI/UX システム要件定義 - 制作フェーズ ワイヤーフレーム デザイン/コーディング スケジューリング - 運用保守改善フェーズ 効果測定/解析 改善/エンハンス ・プロジェクトマネージャー 担当領域 - 事業計画フェーズ 事業戦略の企画立案 人の手配をする 金の調達をする - 設計フェーズ コンテンツ企画立案 システム要件定義
当然ながら、企業やプロジェクトによってそれぞれ担当範囲やフェーズが変わってくる場合もありますが、概ね上記のイメージでいてOKかと思います。
役割が曖昧なだけにチャンスがある
個人的所感で言えば「プロデューサー」と「プロジェクトマネージャー」はかなり担当範囲や権限が似ていますが、ディレクターはプロデューサー業務と兼務みたいな権限とポジションがあって総称して「ディレクター」と呼ばれることが多いです。プロジェクトマネージャ兼ディレクターみたいなポジションもあります。
プロデューサーやプロジェクトマネージャーになるためのステップとしてディレクターを選んだところ、いつの間にか兼務になっていたケースはよくあります。自身のキャリアパスも格段にステップアップした上に年収まで上がる一石二鳥で、そういう現場に出くわしたことはかなりラッキーです。
いろいろな仕事をさせてもらえて幅広い経験値や経歴を積むことができ、クリエイターとしての成長にはかなり有効と断言できます。

WEBディレクターの未来の話

ディレクターに未来はあるのか
現場で体良く扱われがちなディレクターという職種ですが、AI社会が発展、成熟していくとしてもなくならないでしょう。
WEBやAIを含めた科学技術やテックがさらに進化したとしても、このジャンルで人間が要らなくなるということはなく、その他のWEB系の職種も同様と私は考えます。
「ディレクター」という呼称やポジションがそのまま残り続けるかはともかく、クリエイティブの番人のような、ディレクションをする人間が消滅することはないでしょう。
器用貧乏にならぬよう
ディレクターは守備範囲の広い選手とはいえ、何でもできます何でもやりますの人にならないよう留意すべきです。
与えれた仕事を120%でこなすことは社員フリーランス問わずプロとしての大前提ですが、安請け合いしてしまうこととは全く別の話です。
ディレクターにあぐらをかくな
ディレクターは守備範囲の広い引く手あまたの職種でデザイナーやコーダーより平均年収が高いのは事実ですが、ある程度経験年数を積んでも年収800万円程度で頭打ちになります。
これからのディレクターは、Pythonなどのプログラミングスキルを持ち合わせていると年収が上がるのでおすすめです。プログラミングができるエンジニアだけどディレクションや交渉ごと、クライアントとの会話、社内外調整が苦手な人はけっこういるので、プログラミングのできるディレクターだと重宝されますし自分を高く売れます。
そういうステップを経て揉まれていけば、プロデューサーやプロジェクトマネージャーへの道、あるいはプログラミングやシステム開発方面の道も開けてきます。
いずれにせよ年収はかなり上がるでしょう。

まとめ
ディレクターは工事や建設現場の「監督」と同じです。
工事現場や建設現場には土木、建築、足場を組む人など様々な職種の職人がいて、それらを束ねて完成まで持っていくのが現場監督で、私はWEB系のディレクターもそれと同じだと考えます。
私は20代早々にディレクターへ転業して年収が上がりましたし、その後のキャリア形成にも多大に寄与することになったため、私はディレクターをやってよかったと思います。
地味で大変だけどまだまだWEB業界の花形。
私はディレクターという職種をそう考えています。
本記事を読んでディレクターになりたいと思ったデザイナーやコーダーのあなた。
人生は長いようで短いです。
すぐ転業、転職するにしろしないにしろ、まずは社員の求人サイトかフリーランス専門サイトに登録して案件をチェックしてみてはいかがでしょう。

